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「米粉パンのカロリーは?」「グルテンフリーって何?」管理栄養士が解説!

DATE
2016.5.11

最近、米粉パンについてのネット上の紹介や記事を多く見かけるようになりました。
(Pantastic! の米粉パン記事はこちら
TwitterやInstagramでも米粉パンの写真が多く投稿され、その注目の高さが伺えます。
しかし、その米粉パンの製法や誕生のヒストリーはあまり知られていません。そのヒストリーを知れば、米粉パンを食べるときの感動は間違いなく大きくなる。ということで、今回は米粉パンを詳しくご紹介します!

米粉パンは、お米を粉にして作られる、米粉を使って作られたパンのことです。
見た目は小麦粉から作られたパンとあまり変わりませんが、食べてみるとその違いに驚きます。「もちもち感」「しっとり感」に富んだパンで、今まで一般的だった小麦のパンとは一線を隔する特徴あるパンなのです。

(米粉パンを専門店から実際にお取り寄せしたレポートはこちらから!→驚異のモチモチ!? 100%米粉で作られた「お米ぱん 八」の米粉パンを実食レポ【お取り寄せ】)

昨年改正が行われた食品成分表にも「米粉パン」が収載されるなどし、専門家からも注目を浴びている一品。
今回はそんな米粉パンを詳しく知っていただき、その価値を再認識できるようなお話しをしていきます。

米粉パンの製法   一昔前は、米粉パンは存在しなかった?

粉イメージ
実は今から20年ほど前は、「パンらしさ」を持った米粉パンを作ることは不可能だと言われていました。なぜなら…
米粉は〝グルテン〟を作ることができないからです。
あらゆるパンを語るうえで〝グルテン〟の存在はとても大切な要素となります。
そもそもパンはなぜ「ふっくら」したり「パサパサ」したりするのでしょうか。
小麦粉には「グルテニン」「グリアジン」と呼ばれる特別なたんぱく質が含まれており、水を加えて捏ねることで、この二つのたんぱく質が立体的な網目構造を作り上げます。
この編目構造によって生地は丈夫になり、イースト発酵によって発生した二酸化炭素を生地の中に閉じ込めます。これによって生地は膨らみ、オーブンで焼くことで、ふっくらとした食感を生み出すのです。

一方米粉はどうでしょうか。米粉の中には「グルテニン」と「グリアジン」がまったく含まれていません。なので、同じように水を加えて捏ねても〝グルテン〟は生成されないのです。グルテンが形成されないので生地は弱いまま。そのままイースト発酵を行っても、発生した二酸化炭素は生地の中から外へと出て行ってしまいます。結果、オーブンで焼いても生地は膨らまず、硬くていびつな、パンと呼べないパンができてしまうのです。

では、「米粉に小麦粉をある程度混ぜることで、米粉でパンができるのでは?」ということがその後、考えられました。この小麦粉と米粉を混ぜる方法によって、グルテンを作りながらも米粉の特性を生かすことができ、パンとしておいしく食べられる米粉パンがいくつも生まれたのです。また、小麦粉から取り出したグルテンそのものを米粉に加えるという方法も使われています。

しかし、この方法では、小麦粉や、小麦粉から取り出したグルテンが混ざるため、いわゆる「米粉100%パン」「グルテンフリー」のパンを作ることはできません。

米粉100%のパン

米粉100%のパンが作れない理由は、グルテンが存在しないため丈夫な生地が生成されず、発酵によって生じた二酸化炭素を逃してしまうためにパンが膨らまないからでした。

そこで、グルテン以外の方法でパン生地を丈夫にすれば、米粉100%のパンができるのではないかと考えられ、2001年に山形大学が最初の製法を発見したのを皮切りに多様な方法が考案されました。代表的なものは、米粉パンの作成キットでもよく使われている方法で、「増粘多糖類」という生地の粘度を上げる食品添加物の利用です。マメ科の植物の実から抽出したグァーガムなどの増粘多糖類を加えることによって生地の粘度が上がって丈夫になり、二酸化炭素を逃がさず膨らませることができます。

こうしてできる小麦粉・グルテンを使わない米粉100%パンは、グルテンフリーと呼ばれ、小麦アレルギーの人でも食べることができるパンになります。小麦アレルギーは、症数や重篤度が高いので、その代替食品となる米粉パンには期待が寄せられているのです。

米粉パンの栄養素

米粉パン(米粉100%)と、小麦粉から作られた食パンの標準的な栄養素量を比較してみましょう。

炭水化物・たんぱく質・脂質

『七訂食品成分表2016』より

『七訂食品成分表2016』より

米粉パンのエネルギーは、食パンよりも9 kcalほど低く、脂質も1グラムほど低いため、食パンより米粉パンのほうがわずかにヘルシーと言えます。
また、米粉パンは「モチモチ」という特性を持っていますので、咀嚼に時間がかかります。噛むという動作は、脳の満腹中枢を刺激するため満腹感を得やすくなり、ゆっくり食べることにもつながり、血糖値の上昇も穏やかになります。

ビタミン
次にビタミンなどの微量栄養素を見てゆきたいと思います。微量栄養素は添加物や副材料によって含まれる量が大きく変わるので「米粉」と「小麦粉(強力)」の比較をしてみましょう。

『七訂食品成分表2016』より

『七訂食品成分表2016』より

米粉と小麦粉に含まれている主要なビタミンを抜粋しました。比較してみると小麦粉のほうが多くなっています。ビタミンB1、B2、B6はエネルギーの代謝に関わるビタミンですので、米粉パンを主食として食べる場合には、他の食品とどう組み合わせて少ない分を補ってゆくかが大切となります。

米粉パンと食べ合わせ

米粉パンに含まれている成分の多くが炭水化物です。炭水化物を代謝するためには特にビタミンB1が必要ですが、食パンほど多くはビタミンB1が含まれていません。ですので他の食品から積極的に補うことが必要になります。オススメの食品は、豊富にビタミンB1が含まれている豚肉。例えば朝ごはんに、ベーコンと米粉パンという組み合わせはいいかもしれません。

また食品に含まれるたんぱく質の〝質〟を100点満点で示す指標としてアミノ酸スコアというものがあります。小麦のアミノ酸スコアは41程度ですが、米の値は65程。つまり米のほうがアミノ酸をバランスよく含んでいることになります。とはいえ、バランスよい食事をするためには、不足するアミノ酸を補うことが必要です。大豆、卵、乳製品、ツナなどの食品からアミノ酸を補足することで、食事の質を上げてゆきましょう。

米粉パンに関する注意

小麦粉パンと比べて米粉パンはわずかにカロリーが低いですが、その差はたったの9kcalしかありません。一般的なあめ1個が16kcal程度であることを考えると、その差は極めてわずかです。また食物繊維についても、成分表に記載された値を見る限り、特段多いわけでもなく、糖の吸収が穏やかになる効果が見込めるとは言いにくいでしょう。

また確かに、噛むことによって全体の満足感が得られやすいというメリットはありますが、単に食べ続けたからと言ってダイエット効果が直接があると言うことは難しいと言わざるえません。もしダイエットを意識するのであれば、米粉パンの「モチモチ」をゆっくり味わいながら、しっかり噛んで食べましょう。
また、パンという食べ物自体、脂分の多い食品と組み合わされがちです。バター、マーガリンだけでなく、ステーキ、シチューなど、食事全体として考えたとき決してヘルシーな食べ方ができるとは限りません。

米粉パンのこれから

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今までパンと言えば小麦パンでした。しかし、その常識は変わり、コンビニに行けば当たり前のように米粉パンが販売されています。
小麦粉パンでは味わえない、米粉パンならではの食感は、食事やおやつに新しいバラエティをもたらしてくれます。例えば朝ごはんは必ずパンという生活の中でも、「モチモチ」した触感を持つ米粉パンが加わることで、新鮮なおいしさを感じることができるでしょう。
米粉製品の研究は、食料自給率の観点からも重要視され、国家プロジェクトとして行われています。今までのパンとは全く違う、新しい食感をもったパンが米粉から作られるかもしれません。それだけ可能性を秘めた米粉パン。これらも進化を続けることは間違いないでしょう。

この記事を書いた人

村田裕介 / Bucket
プログラミングしたりする管理栄養士

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